ボクに溺れて

※R18 性交を除く性描写があります
著作 レチタティーヴォ




















































 

慕っていた兄が豹変し、アースの、次に生まれてくる生命……すなわち人間の為に、ボクとバハムートは生贄となる運命にあった。その逆境を覆し、ボクを助けてくれたのは、ボクが憎んでやまないエデンの『人間』だった……人間が嫌いで、憎くて仕方なかった筈なのに、その人間は今まで会ったどんな人間よりも、素敵なひとだった。
夜の音を奏でる者ーーシャオンと名乗った魔帝。ボクは彼の提言する理想と人格にとても惹かれた。彼の為なら、何でもできると公言できるほど、ボクはシャオンを狂信的に好いている。
「明日、契約の日なんだってな」
ボクの師、コンチェルトはボクの剣を砥石で磨きながら言った。そう、明日は待ちに待ったシャオンとボクが契約をする日だ。組織に幹部として入り、十日目になったマスカレードは、しきたりのように魔帝と契約を交わす。彼からマスカレードとしてのコードネームを正式に授かる大事な日だ。
契約というと、大それた感じがするが、要は名前を魔帝から授かる代わりに、ボクの魔力をシャオンに献上するだけだ。まあ、とはいえ……複数の異なる魔力を身体に宿らせておくのは、とても困難なことで、そうそうできるものじゃない。魔力を受けとるシャオンの身体に、とてつもない負荷がかかる。
それが証拠に、最近のシャオンは契約の度に昏倒し、深い眠りにつくことが多い。それはボクの時も例外ではなかった。

 

「あ、っう……」
なかなか自分の身に馴染まない異質の魔力が体内に入ることに、シャオンの身体は苦痛を生じて本人に訴える。口づけでボクの血を介し、魔力を与える度に、シャオンは必死で痛みをこらえる。その様を見るのは、とても痛々しくて、ボクはそれ以上やりたくない……筈なのに、半面、もっとシャオンの苦痛に歪む姿というか、いろんなシャオンの表情が見たくなった。
そんな自分の嗜虐心を押し込めながら、ボクはシャオンの身体を組み敷き、ゆっくりと、時間をかけながら魔力を与えていく。時間をかけて与えると、一気に魔力を送るよりは身体の負担が減るが、与える時間が長い分、シャオンは痛みに耐えなければならない。でも、敢えてこの方法を選んだのは、自分の存在と魔力をシャオンの心身に刻みつける為だ。
「リヴ(リヴァイアサンの愛称)、ちょっと……ま、まって」
息を切らしながら、シャオンはボクの袖を必死に掴み、しばしの休息を促す。ゆっくりと、じっくりと、侵蝕するようにシャオンに魔力を与えたいボクからしてみれば、それは好都合なので、意地悪せずに望み通りにした。
「シャオン、大丈夫?」
「……」
頷いて返事をするが、余程辛いのか……ベッドに横たえたまま、苦痛による呻き声以外、一言も口にしない。
「シャオン……今日はやめにしようか?」
「……やだ」
「あまり無理をすると、また倒れちゃうよ」
「……大丈夫。今までも、がんばって、これたから」
肩で息をするシャオンの額に手を置き、異常な熱さに身の毛がよだった。恐らく38℃以上の熱が出ている……今までの契約の疲労が今回のことで一気にぶり返したのだろう。
「シャオン、しばらくこのまま休もう。契約はちゃんとするから……ね?」
「……うん、わかった」
普段なら強がっていたであろうシャオンが、今回はとても素直でおとなしい。そんな彼の額に手を置き、氷の魔術で冷気を浴びせた。
ひんやりとした、冷たい感覚が心地良いのか、シャオンはそのまま微動だにせず、火照る身をボクに任せる。
「あ、そういえばティオ兄さん(レチタティーヴォ)が、もしシャオンが苦しんでいたら使うといいって……魔薬くれたんだ。シャオン……飲む?」
「う、うん、そうする」
シャオンは手渡した透明な液体の入った薬瓶を躊躇なく飲み込んだ。途端、筋肉が弛緩したようで、ボクの前に倒れこむ。
「……ティオ兄さんの薬は、効果が出るのが、早いね」
「……」
「シャオン?」
そっと首に腕を回してきたシャオンに、ボクは訝しげに手を伸ばして?に触れた。
「なんか、ふらふらして……おか、し……」
「最初のうちだけだよ、シャオン。さ、大人しくしていないと……この先後がつらいから」
「ん……」
薬が効いてるのか、苦痛のような呻きは聞こえないのだが、どこかシャオンの声や仕草が艶めいている。夢現つになりかけの表情でボクを見つめてくる。
薬の副作用で夢現つになってるのかな?と思い、気になって今更ながら小瓶に貼ってあるラベルの説明書に目を通した。
主な使用効果……鎮痛、解熱。ここまでは普通だったが、瓶の蓋の裏に彫られていた文字を見て固まった。
※重要なお知らせ。副作用として、催眠及び媚薬効果もあるよ。効果時間は約半日……Let’s enjoy(^-^)
「…………ティオ兄さん」
とりあえず小瓶をサイドテーブルに置き、シャオンの頭の両側に手を突き、そっと覆い被さった。
「リヴ?……どうかした?」
シャオンが再び伸ばしてきた手を取り、ボクは手首にKissを落とした。そして、もう賽は投げられてしまったんだ。とりあえず儀式として進めよう、と彼の服のボタンを外していった。シャオンは薬の所為で惚けている為、されるがままだ。
「シャオンのバリスタの制服……ボタンだけ外して、こうしてはだけさせていると……そそるなぁ」
「さ……寒い」
身体を震わせて毛布にくるまろうとするシャオンの両手を制し、首筋に舌を這わせた。
「ひゃ……ぅ……リヴ?」
「シャオン、名前教えて。ボクの新しい……名前」
シャオンの両手を交差させて枕に押し付け、それを自分のスーツのネクタイを解いて結い、シャオンのネクタイも合わせてベッドボードに括りつけた。
「う、リヴ……こわ、い」
「泣くなよ、シャオン……そそるじゃないか」
「!?」
首筋に、鎖骨に、胸に、脇に、腹に、腰にと……手を滑らせるように触れていく。ボクの手が当たる度に、シャオンは身体を震わせながら声をあげた。まるで鍵盤を弾いて音を出すピアノのようだ。
「シャオン……ボクは君が好きだよ。君の為なら、何でもできる……でも、ボクは自分勝手な奴だから、たまに君をこうして縛って、ボクのものだけにしたいんだ……この抑え込んでいた感情……薬を理由に少しは晒させて」
「……ぁ、ちょ、そこは」
下肢へと手を伸ばして、下着ごと服を取りさらい、直に触れるとシャオンの身体が跳ねた。
「ボクね……ウリエルにこういうことも調教されてたから、巧いよ」
「ま、待って……」
「見せてあげるよ……魔海のリヴァイアサンの快楽の波を」
「……ぅ」
「大丈夫、これは薬の所為なんだよ。そして、それにつけ込むボクの所為……でもさ、こうして魔力を与えた方が、シャオンも楽だし気持ちいいし……うん、きっと溺れるよ。欲しくなったらいつでも言ってね」
耳元で悪魔の言葉を囁きながら、緩慢な動きで手を動かし、シャオンの性欲を刺激していく。薬の催淫効果が更に後押しして、シャオンはボクに身を委ね始めた。
「あ……ぁ、リヴ……ぁ」
「かわいい啼き声。もっと聞かせて、今だけは、君はボクの魔帝さまだ」
催眠状態のシャオンに暗示をかけるように、ボクだけのシャオン、ボクだけの魔帝さまと、ひたすら呼びかける。
「ねぇ、シャオン。マスカレードとしての、ボクの名前を教えて」
「は、はぁ……ぁ、ば、ヴァルス!」
「?ぁるす?」
「え、円舞曲だよ」
ヴァルス……円舞曲か。いいね、それ。ボクが快楽の深海へとエスコートするよ。そして、そこで永遠にボクと……踊って、ボクだけの魔帝シャオンさま。
ボクも無性でシャオンも無性だから、性感帯なんて手に取るようにわかった。ボクが触れれば触れるほど、シャオンは悦な声を出して啼く。
魔力を与えながらKissをしてるというのに、シャオンはもう痛みよりも快楽の方が増しているのか、ボクの首に腕を回して抱きつく……嗚呼、なんて淫らな魔帝だろう。
舌でそっと泉を舐めると、甲高い声をあげた……ああ、ココが弱いんだ。
「ぁ、あ……ぁあ……?ぁる、す……ぁ、気持ちイイ」
「エッチだね、シャオン。そんなに脚広げて……ボクにそんなに舐められたい?」
「う……だ、だって」
「………濡れてるよ、シーツに染みができちゃうね、シャオン」
「!……い、言わないで」
言葉で攻めれば攻めるほど、シャオンの身体は反応している。それが証拠に、中に入れた人差し指が締め付けられるのが分かった。
嗚呼、本当にかわいいなぁ。一度舌だけでイかせてしまおうと、舌を這わせてひたすら舐める。とにかく弱いところを重点的に攻めたてた。
「あ、ぁあっひゃあ……ぅあ、いい、イイよ、ヴァルス!」
とめどなく全身を飲み込む快感の波に、シャオンは羞恥を捨てて叫ぶ。
「ぺろ……クス、そそるなぁ、その顔。しかもそんなに淫らに叫んで……快楽に溺れていくシャオン、かわいいよ」
とめどなく流れてくる快楽を訴える証を舐めとりつつ、源泉を攻める。緩慢な動きでリズムよく、舐め続けていると、シャオンは高い喘ぎ声をあげて果てた。
「もう果てちゃったんだ……でも、まだ終わらないよ?」
快楽の次は痛みを。手を伸ばし、シャオンの首を絞めながらKissをして魔力を大量に流し込む。
「!……っん!?」
唐突に襲ってきた激痛に悲鳴をあげるシャオン。ああ、流石に魔力が濃すぎたかな。薬の効果がなかなか効かないや。
シャオンが呻いている間に、今度は泉に指を入れたまま、また源泉に舌を這わした。
「ひっ!?」
「また気持ちよくしてあげる。さっきは舌だけだったから。今度は……うん、ナカも指でかわいがってあげるよ」
激痛を和らげるような快楽がまた襲ってきて、シャオンは生理的に溢れ出る涙を流しながらただ啼いた。
「あ、ぁあ……ヴァルス、やめ、こわれ……ちゃ」
「壊れていいよ……そして、ボクだけの魔帝になって」
舐める度に、ナカにある人差し指と中指を締めつけられる。その締めつけ具合で一番感じる場所と舐め方を模索していく。
「ゆび、ふ、ふか、ぁあ……そこ、だめっ!」
「うそつき……ココがいいんじゃないの?……ほら、シャオンのココ……ボクの指を締めつけて離さないよ。ふふふ、エッチな子だなぁ」
イジワルな言葉を投げつけながら、それでも行為は優しく、蝕むように進めていく。
「あ、だめ……う、もうっ!」
「二度目の快楽の高波だよ、さ……遠慮せずに呑まれて」
「っ!?」
「お、すごい締めつけ……ふふ、指を入れてるとイったか分かりやすいね……さて、ではまた」
二本の指を強く締めつけながら果て、絶頂の余韻に浸っているシャオンに覚醒を促す激痛の血をまた与えた。
「っ!?……うわあああああああああああああああっ!?」
「クス……あはははは、本当に壊れちゃいそうだね、シャオン。でも、大丈夫……ボクがついてるよ」
「痛い……イタイよ、ヴァルス」
快楽と激痛を交互に休む間もなく与えられ、シャオンの身体は悲鳴を訴え、精神は疲弊仕切っている。そんな朦朧とした意識に向かって、ひたすらボクは刷り込むように、ボクの狂信的で病んだ愛を耳元で囁いていった。傲慢な悪魔ばかりに身を委ねる君……そんなボクの嫉妬の気持ちを汲み取って欲しい。
ボクという魔海の円舞曲に踊らされて、ボクの欲望の深海に沈んで、ボクの与える絶海の快楽に溺れて……。

 

「ヴァルス……痛い」
「ごめんね、シャオン。つい感情が爆発しちゃって」
沈むベッドの上。裸に黒いワイシャツを身につけただけのシャオンと、反対にスーツをばっちりと着ているボク。
シャオンの肌にはあちこちに紅い跡がついてて、なんとも妖艶だ。これは……エピックにバレたら大変かな。あの後結局4回くらい抱いて……シャオンが計7回目の快感を得て、そのまま果てて眠ってしまい、ボクも欲望を発散させた疲れからか、眠りこけてしまっていた。
「でも、気持ちよかったでしょ?」
「…………まあ、それは」
「欲しかったら……いつでも海においで、優しく蝕むように沁みこむように、抱いてあげるよ」
「…………気が向いたらね」
「うん、連絡待ってる。さ、もう少し寝てて……ボクはお粥作ってくるから」
「……うん。あ、それと……ヴァルス。もうレチタティーヴォの薬は」
「うん、わかってる。今度はちゃんと実力で勝負するよ」
「うん……ていうか、キミ、薬使う必要ないよ」
シャオンは赤面しながら吐き捨てるように言い、ヴァルスから目を逸らすと毛布にくるまった。

End.

 

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