リンとナハトの邂逅

ラン「血肉が足りない……」
屍の血を啜り、肉を喰らい、骨を噛み砕くラン。その姿を、ナハトは戦慄しながら建物の陰で見ていた。
普段は温厚で優しい彼が、深夜抜け出して狂気に染まり、こうして殺戮を繰り返しているなんて、誰が想像できただろう。
本能が逃げろ、と心に警鐘する。しかし、あまりの衝撃過ぎる出来事に足が竦み、ナハトは微動だにできずにいた。
義兄妹とはいえ、今の兄に姿を見せれば殺されてもおかしくない……だから早くこの場から離れなければ、と思うのに、身体は動かなかった。
「?……ナハトか?」
「っ!?」
そうこうしている間に、ランが眼前にいた。先程食らっていたひとだったものは既に、ほんの少しの残骸だけになっていて、自分もこうなるのでは?とナハトは死体を一瞥してランに向き直った。ランはというと、手についた血を舐めながら見下ろしている。
「……見たのか?」
嘘をついたところで、見破られる。そう思ったナハトは身体を震わせながら、頷いて肯定した。
「怖がらせて、悪いな……まだ喰い足りなくて」
言いながら、建物の壁に張り付いたままのナハトの首筋に手を添え、片腕を壁についてナハトを覆うように立った。
「ひっ!」
「そう怯えるな。そこに転がってる残骸のようにはしない……お前は俺にとって、大事な兄妹だからな」
カタカタと揺れる肩を抱き寄せ、ゆっくりと首筋に舌を這わし、優しく囁くラン。そのままランに咬みつかれ、血を啜られるも、ナハトはランに身を委ねるしかなかった。

 

続きは知らない
by レチタティーヴォ

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